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WEBCM(ウェブCM)とは
WEBCMとは、特定の目的を持って配信されるWEB上のプロモーション動画の総称です。
スマホと5Gの普及に伴い、インターネット上やSNS上での動画視聴が一般化したことにより、TVCM(テレビCM)に代わる消費者との新たなコミュニケーション方法として、WEBCMをつくる企業が急増しています。
スマホが一般化する以前から、TVCMを放映するような大企業では「続きはWEBで」など、視聴者をWEBCMに誘導することで活用していましたが、YouTube、Instagram、TikTokなどのSNSが普及してからは、その裾野がひろがり、大企業だけでなく多くの中小企業がWEBCMを作るようになりました。
WEBCMの目的
企業のWEBCMの利用目的(利用シーン)は大きく分けると2つです。
- 「顧客獲得」のための自社またはサービスの宣伝
- 「採用」のための企業プロモーション
TVCMでは、圧倒的に「顧客獲得」を目的として作るケースが多いですが、
WEBCMでは採用を目的として作るケースも多いのが特徴です。
テレビCMとWEBCMの違い
TVCMとWEBCMの最も大きな違いは、配信の規模と配信にかかるコストです。
TVCMは全国放送の場合、数千万人に届く可能性があり、その分費用も大きく数千万円単位の予算が必要となります。
一方でWEBCMは、配信の規模は予算に合わせて柔軟に調整することができるため、TVCMレベルの予算まではとれない企業でも自社の予算に合わせて配信することができます。
そして、WEBCMの最大の強みが「配信ターゲットをより詳細に選定できること」です。
テレビCMのターゲティングは、「配信エリア」や「時間帯」「番組」などにとどまります。
それに比べ、WEBCM(YouTube広告)の場合、「配信エリア」「時間帯」はもちろん、「年齢」「興味関心カテゴリー」「年収帯」「子供の有無」「特定のYouTubeチャンネル」「特定のYouTube動画」など、きめ細かく配信対象を選ぶことができます。
そもそも、テレビ番組は放送枠(番組枠)が限られているため、より多くの視聴者から支持を受ける番組を作る必要があります。
そのため、仮にどれだけニーズが強くても、新卒の就職活動をしている大学3年生向けに「テレビ番組」を作ることはありません。
なぜなら、テレビをみる可能性がある日本の人口、約1億2500万人のうち、就活中の学生は約50万人(※1)でターゲットが極端に少ないからです。
※1:文科省 学校基本調査(2022年12月度発表) より
同様の論理により、ソフトウェアエンジニアのためのテレビ番組や、パティシエのためのテレビ番組などニッチな番組は存在しません。
一方で、YouTubeをはじめとするインターネット上では放送枠に制限がないため、ニッチな興味関心に対応するターゲットのボリュームを度外視した動画が投稿されています。
そのため、例えば、
【名古屋の製造業の会社が「20代の第二新卒採用」に力を入れたい場合】
- 年齢24歳までの男女
かつ
- 愛知、静岡、岐阜、三重に住んでいる
かつ
- 転職ノウハウ動画を配信するチャンネルを見ているユーザー
に対してピンポイントに配信することができます。
TVCMほどの視聴者数を確保できなくても、ターゲットを絞ることで効果的に訴求することができます。
このように、配信ターゲットを細かく絞ることで、コストの無駄を最小限に抑え配信をすることができるため、サービス提供エリアに制限がある地域密着の中小企業や、ニッチ市場で事業を営む中小企業にとっても有効な施策になります。
WEBCMのデメリット
- 尺(動画の長さ)の自由度が高い
TVCMの場合は、15秒または30秒という尺の制約がありますが、WEBCMの場合は、18秒や100秒以上など、比較的自由に設定することができます。
ただし、配信するプラットフォームのユーザー心理/行動によって、許容される尺の目安があるため、ユーザー目線を取り入れた尺調整が必要です。
- 表現の自由度が高い
公共の電波を使って放送するTVCMの場合は、テレビ局による「CM考査」があります。
CM考査では、「表現考査」と「業態考査」という段階の考査があります。
表現考査では、視聴者に不快感や不利益を及ぼさないために、虚偽・暴力的・性的表現など「放送基準」に抵触する表現がないかや、テレビ放送に耐えうる映像品質かを厳しくチェックされます。
WEBCMでも、YouTubeや、Instagram、TikTokなどの配信するプラットフォームや配信手法ごとに審査基準がありますが、TVCMと比べると審査基準は寛容な傾向にあります。
ただし、TVCMほど審査が厳密でないがゆえに、プラットフォームの審査を通過して配信できたとしても、景品表示法や、医薬品医療機器等法(薬機法)などの法律に抵触していまう可能性があるので注意が必要です。
せっかく作ったWEBCMが違反により、無駄にならないよう、WEBCMの制作の前には、専門家や弁護士に相談しましょう。
- 審査のスピードが早い
業態考査では、業態や事業内容から「そもそもCMを配信するにふさわしい広告主か」をチェックされます。
これらの、考査を通過するためには、様々な提出書類を用意する必要があり、不備なく書類を提出してからも考査自体に1か月以上の時間を要します。
一方、WEBCMの審査基準は、TVCMに比べると簡易的であり、審査時間も数時間程度と短いです。
配信したいWEBCMの内容がポリシーに違反している場合、審査段階でNGになり配信できないケースもあれば、審査通過後、配信中に、視聴者の反応を加味してポリシー違反と後から認定され、配信停止となることがあります。
- SNS上での拡散が期待できる
動画のクオリティや企画が優れており、視聴者の心をつかんだ場合、SNS上で拡散される可能性があります。
SNSの特性として、友人など、近しい属性や、同一の興味関心を持ったの人たちがフォローフォロワー関係になっており、SNS上で拡散されることにより、広告費を支払うことなく、企業やサービスの認知を広げることができます。
WEBCMのデメリット
- テレビCMほどの爆発力がない
テレビCMは、1回の放送で同時に、数千万人に情報を届けられる可能性があり、配信に伴う爆発力があります。
それに比べ、WEBCMはユーザーがそれぞれのタイミングで動画再生する度に配信される広告のため、徐々に徐々に広がる傾向があるため、爆発力という観点ではテレビCMに劣ります。
ただし、SNS上でバズった場合は、テレビCMにも負けない爆発力を持つことがあります。
- 視聴維持が難しい(スキップされる可能性が高い)
最後までCMが見られる可能性が高い、TVCMに比べ、YouTube広告では「スキップボタン」があり、その他のSNS媒体でも、視聴者の意思で動画をスキップすることができる仕様が一般的です。そのため、WEBCMの冒頭で視聴者の興味関心をつかめないと、スキップされてしまいます。途中でスキップされてしまうと、当然伝えたい情報が正しく伝わらず、狙った態度変容を起こすのが困難になります。
そのため、テレビCM以上に動画の構成やストーリーなど視聴維持するための工夫が必要不可欠になります。
ただし、イントロ5秒でスキップされた場合は、課金対象外になるなど、完全に無駄になるわけではありません。この仕様を利用し、イントロの5秒で会社名や、サービス名を刷り込むなどの工夫も可能です。
また、YouTube広告の場合は、スキップできない配信方式もあります。
- 媒体としての信頼度
テレビCMと比較すると、視聴者からの情報信頼度が低いという特徴があります。
WEBCMはテレビCMに比べ、配信ハードルが低く、各広告主の動画のクオリティがテレビCMに劣るケースも多いため、視聴者の情報に対する信頼度がまだまだ低いというデメリットがあります。信頼度の高い情報だと認識してもらうためには、動画自体のクオリティを上げることが必要不可欠です。
WEBCM制作工程とスケジュール
WEBCMの制作には、大きく分けて12の工程があります。
- 配信目的の決定
- 配信ターゲットの決定
- 配信媒体/配信手法の決定
- 狙うべき態度変容の決定
- WEBCM仕様(サイズ、尺)の決定
- WEBCM企画の決定
- WEBCMのストーリー決定
- 撮影準備(撮影日、ロケ地、演者、小道具など)
- 撮影&編集
- 完成
- 媒体配信開始
- 配信結果の分析と改善
動画制作フェーズである工程1~10までで考えると、少なくとも2か月以上は見ておくべきでしょう。
企画や求めるクオリティによって大きく変わりますが、特に制作期間に大きな影響を与えるのが、撮影回数、編集の多寡(多いか少ないか)です。
制作期間が延びる=制作コストの増加とも言い換えられるため、注意が必要です。
WEBCM制作の費用
WEBCMにかかる費用は、大きく分けて2つです。
1つは、「WEBCM制作費用」です。
これは映像を作るための費用であり、企画を練るための事前調査から、撮影、編集にかかるコストになります。
制作費用は企画によって、大きく変動するコストのため、先に上限予算を決めてから制作に入る必要があります。
動画の企画において費用に影響が出やすいポイントは下記です。
- 実写 or アニメーション(既存素材 or 新規作画)
- 演者(社員 or タレント)と人数
- 必要備品にかかるコスト
- ロケ地
- 準備にかかる工数(ダンスの練習など)
- 撮影回数
- CG表現の有無
予算が大きければ表現の選択肢も増えます。成果を出すために一定のクオリティを求めた動画を制作する場合は、少なくとも制作コストとして100万円以上は確保したほうが良いでしょう。
特に、CG表現を多用する場合や、一流タレントをキャスティングする場合などは、数百万から数千万単位での費用がかかります。
もうひとつは、「配信費用(広告費用)」です。
配信先によって大きく異なりますが、YouTube広告の場合は、プラットフォームとしての最低予算はありません。
しかし、一定の成果を求めるのであれば、最低でも月間10万円以上は確保したほうが良いでしょう。
その他、採用媒体の原稿に動画掲載ができるプランの費用などが考えられます。
成果がでるWEBCM制作の5つのポイント
- WEBCM制作の目的を明確にする
- 制作前から配信戦略を考えておく
- 視聴者の態度変容に必要な要素を洗い出す
- 配信媒体に合わせて動画企画をする
- 視聴維持を意識した動画制作をする
WEBCMを最大限に活用する配信媒体例
- YouTubeチャンネル
- YouTube広告
- Instagram/facebook
- X(旧:Twitter)
- 採用媒体
- 自社ホームページ
- メルマガ
- プレスリリース
まとめ
今回の記事では、TVCMと比較しながら、WEBCMのメリット/デメリットや制作のフローなどについて解説しました。
Instagramなど多くSNSの特性上、動画投稿はインプレッション(表示回数)が出やすい傾向にあり、人の目に触れやすく拡散されやすいため、WEBCMをうまく活用することができれば、中小企業でも大きな成果を期待することができます。
WEBCMに興味がある場合は、無料相談を受け付けておりますので、お問合せよりご連絡ください。